APRIL.21.2015

I.C.E × デジタルハリウッド 第1回 I.C.E学生セミナー「インタラクティブ・プロダクション白書2015」東京本校レポート

4月11日(土)、I.C.Eはデジタルコンテンツ制作の専門スクール「デジタルハリウッド」と共催し、第1回 I.C.E学生セミナーインタラクティブ・プロダクション白書2015」を開催致しました。

このセミナーは、インタラクティブコンテンツの制作に興味がある学生及び社会人に、仕事のやりがいや舞台裏を知ってもらい、次世代クリエイターの育成につなげていくことを目的としています。
受講対象者はデジタルハリウッドの在校生・卒業生、及びクリエイティブ分野で働く社会人の皆さん。
クリエイター志望の方が普段はなかなか知ることができない仕事の流れや実践で役立つスキル、リクルート事情などにふれられる、貴重な機会となります。

セミナーは事例紹介とディスカッションの二部により構成。この日は、I.C.E理事長である木下謙一氏(ラナエクストラクティブ代表)、上林新氏(イメージソース プロデューサー)、遠崎寿義氏(ザ・ストリッパーズ代表)、村田健氏(ソニックジャム代表)、築地Roy良氏(BIRDMAN代表)、北村健氏(ベースメントファクトリープロダクション代表)、原冬樹氏(ワンパク クリエイティブ・ディレクター)が登壇しました。

木下謙一氏(ラナエクストラクティブ代表)

はじめに木下謙一氏が挨拶の言葉を述べ、I.C.Eの概要を説明。I.C.Eのミッションにふれつつ「僕らはこの仕事が非常に面白くて、意義のある仕事だと思っています。皆さんにもぜひこの業界に来て欲しいですね」と語りました。

プレゼンテーション:I.C.E各社の最新事例を紹介

プレゼンテーションは、テクノロジーにフォーカスをあてた「インタラクティブ・テクノロジー編」からスタート。

トップバッターのBIRDMAN代表 築地Roy良氏は、今年の3月、東京ミッドタウンアトリウムで展開したフットウェアブランド「クロックス」の『空中ストア』を紹介。これは、自動制御されたドローンが軽量タウンスニーカー『norlin』を運び、来場者に"驚きを持った軽さ"を伝えるというもの。モーションキャプチャのカメラを使用したドローンの制御方法からプロモーションムービーの制作までを解説し「最近は広告制作もデジタルが中心になってきたので、全てにおいてデジタルがからんでくる。ぜひWebだけではなく、色々な方向にアンテナを張ってみてほしい」と語りました。

イメージソース プロデューサーの上林新氏は、昨年I.C.Eが主催した『INTERACTIVE CREATION CAMP』とサイネージを活用した自動販売機『Pantene Face Vending Machine』を紹介しました。『INTERACTIVE CREATION CAMP』は、未来のサイネージ制作に取り組むワークショップ。ユッシ・アンジェスレヴァ氏、筧康明氏などの講師を迎え、約2ヶ月の間に講義、制作、スパイラルガーデンでの成果発表展、講評、シンポジウムを行いました。上林氏はこのワークショップで制作されたサイネージを紹介。昨年のデジタルサイネージアワードで特別賞を受賞した『てあらいかがみ』などを見せ、「I.C.Eでは今年もINTERACTIVE CREATION CAMPを開催します。新しい仲間や先生、技術と出会う良いきっかけになるはず。皆さんも応募されてみてはいかがでしょうか」と呼びかけました。 

続いて、クライアントとのコミュニケーションにフォーカスした「企業キャンペーン編」へ。

ザ・ストリッパーズ代表の遠崎寿義氏は、テントや焚火台などで知られるアウトドアメーカー「Snow Peak」のECサイト制作についてプレゼンテーションを行いました。その制作プロセスは綿密なヒアリングにはじまり、商品を理解するためのキャンプ体験や、在庫管理や出荷プロセスの改善提案、実店舗でのリサーチなど、じつに多岐に渡るもの。「今回は出荷プロセスから包括的に改善していく必要があったため、ヒアリングと設計に時間をかけました。また、高額な商品もあることから、実店舗で商品を見てから購入する方も多い。そこで、実店舗で働くスタッフの方と"店舗とネットがどのように情報発信すればうまく補完し合っていけるか"という議論を重ね、サイトを構築していきました」遠崎氏の話から、ECサイトの舞台裏で行われてきたさまざまな苦労を知ることができました。

ソニックジャム代表の村田健氏は、デジタル分野へのニュース配信などを行っている「共同通信デジタル」のサイトリニューアルについてプレゼンテーションを行いました。これは、"世の中に溢れている話題を可視化する"というコンセプトのもとに設計されたサイト。トップページではニュースのキーワードをビジュアライズしたアニメーションが展開します。村田氏はこのサイトに用いた仕様「WebGL」にふれ、「WebGLは、最近Flashに代わり急に増えてきた仕様なので、3Dを勉強している方には今後生きてくるスキルだと思います。技術は時代と共にどんどん新しくなっていきますが、それまでの経験が無駄になることはありません。Flashで学んだことも、必ず次に生きてくる。そのためにはひとつの技術を深く知り、自分が表現したいことをきちんと形にする習慣を身につけておくことが大切です」と語りました。

トークディスカッション:I.C.Eクリエイターの働き方がわかるアンケート結果を公開

第二部ではラナエクストラクティブ代表の木下謙一氏が司会をつとめ、各社の代表が登壇。I.C.Eのクリエイターを対象に行ったアンケート結果をベースに、ディスカッションが進められました。
アンケートの内容は「学生時代はどのように過ごしていましたか?」「求められるスキルは?」「この業界で生き抜くコツは?」等々。中でも受講者の関心度が高まったのは「採用の際に重視することは?」というトピックでした。
築地氏は採用側の立場から、次のようにアドバイスしました。「面接では、とにかくつくったものを見せて欲しい。それも学校の授業でつくったものではなく、自分が好きでつくるというスタンスが大事。授業の域を超えたことができるかどうかが勝負。とにかくつくってなんぼ、です。」

「能力を身に付けるためのアドバイス」というトピックでも、学生に向けた貴重なアドバイスが次々と飛び出しました。
「好きなことを見つけることが大事」という築地氏は、次のようにコメント。「うちのデザイナーには自分の好きなWebデザインを探してもらい、"なぜ自分がそのサイトを好きなのか""どうすごいと思うのか"ということを分析してもらっています。好きなデザインを真似してつくってみることも大事だと思いますね。その上で自分がつくったものと本物がどう違うのかを分析する。分析して吸収しないと、自分の糧にはならない」

ワンパクのクリエイティブ・ディレクター 原冬樹氏も、その意見に同意。「分析することは大事ですね。"かっこいい"と思うのは主観論。仕事としてやっていくには、自分がつくったものの有用性を説明しなければならない。説明し、世の中に通していくことが大事です」とコメントしました。

イメージソース プロデューサーの上林新氏は、インタラクティブ分野で仕事をしていくためには、職域を超えた思考法が大事だとアドバイス。「デザイナーとエンジニアが同席する打ち合わせはチャンスです。デザイナーの意見を聞きながらどうやって実現できるかと考えられるエンジニアや、バックエンドのことも考えながらデザインできるデザイナーは優秀です」

最後に公開されたアンケート結果は、仕事のやりがいや満足度について。このアンケート結果を分析すると、I.C.E各社のスタッフは、比較的職場の仲間環境に満足して働いている人が多いことがわかりました。
村田氏はこの結果について「僕達の仕事は、基本的には皆で協力してチームでものをつくっていく仕事。それで結果的に気の合う仲間が残っているのでは」とコメントしました。
「ただ、仲良しこよしというわけではないと思う」と発言したのは原氏。「制作は、いろんな意見がぶつかり合って、ひとつのものをつくっていく仕事。このアンケート結果から出てきた"満足"というのは、良きライバルであり、スキルを高め合える仲間がいるということなのかな、と思いました」

ベースメントファクトリープロダクション代表の北村健氏は、次のようにコメント。「クリエイターの子たちには、自分の体内時計に合わせて一番力を発揮できる時に働く、というスタイルで仕事をしてもらっています。そういった自由度がある中、社内にはフットサルや野球、登山のチームがあり、それぞれ自主的に活動しているようです。うちは厳しい会社なので、その厳しさを乗り越えてきた子たちの中に、共通言語のようなものがあるのかもしれません」

この質問を最後に、ディスカッションは終了。学生の方にとっては、少なからずプロダクションでの働き方をイメージできる良い機会となったのではないでしょうか。その後の質問コーナーでもさまざまな質問が寄せられ、最後まで高い集中力を保ったセミナーとなりました。
I.C.Eではこれからも学生や社会人を対象としたセミナーを実施していきます。ぜひ、今後の展開にもご注目ください。