MAY. 7.2015

I.C.E × デジタルハリウッド 第1回 I.C.E学生セミナー「インタラクティブ・プロダクション白書2015」大阪校レポート

4月25日(土)、デジタルコンテンツ制作の専門スクール「デジタルハリウッド」と共催のセミナー「インタラクティブ・プロダクション白書2015」が、東京本校に続き大阪校にて開催されました。

このセミナーはインタラクティブ・クリエイティブ業界に興味を持つ学生・社会人を対象に、I.C.E加盟各社の事例紹介とトークセッションを通じて、普段外側から見るイメージとは違った切り口から業界を知ってもらうことで次世代のクリエイター育成につなげたいというものです。

はじめに澤邊芳明氏(ワン・トゥー・テン・デザイン代表)からごあいさつと、I.C.Eの簡単な説明、また「技術だけでは十分といえない」というメッセージと共に、今回のセミナーで「では何が求められているのか?」について掘り下げることを予告しました。

プレゼンテーション:I.C.E各社の事例紹介

プレゼンテーションは大きくテクノロジー編と企業キャンペーン編に分かれて行われました。


まずはテクノロジー編として、ワン・トゥー・テン・デザイン代表の澤邊芳明氏と北島ハリー氏より、世界初、感情認識パーソナルロボット『Pepper』開発の裏話から始まり、会場全体がぐっと引き込まれました。従来のロボットが問いかけに対する情報提供型である一方で、Pepperは自ら会話を投げかけるという点で全く新しい存在です。特にロボット同士の鼎談の映像では愛らしい様子に笑いも起きましたが、「人との会話で感情を読み取るコミュニケーションがロボット同士ならどうなる?」という開発者の知的好奇心が、次の新しい技術開発につながる糸口を見つけるのだという示唆もありました。

エイド・ディーシーシーの大橋將史氏は、視線追跡型ヘッドマウントディスプレイ・FOVEを使った事例『Eye Play the Piano』の、特に開発上で困ったことについて紹介しました。そもそもFOVE自体も開発中で実機がないままOculusを代用して開発を進めたこと、思いがけないアクシデントやトラブルの数々、失敗を積み重ねくぐり抜けた結実であることを明かしました。大橋氏は構成を模式図で示して技術的な解説も加えつつ、「経験は意外な場面で役に立つことがある」として、「どんなことにも興味関心を持ってより多く体験・経験してほしい」と語りました。

続いて企業キャンペーン編。

エイド・ディーシーシー代表の富永幸宏氏はシンガポールで実施した『POCARI CROSS RUN』について紹介しました。Beaconを使ったランナー向けアプリによるキャンペーン施策ですが、当企画の本質的な価値は、アプリのダウンロード数のみならず、クライアントの大塚製薬にとっても、Beaconを設置したセブンイレブンにとっても売上増につながったという結果を出したこと、またシンガポール全土に設置したBeaconは今後応用できることにあるとし、企業キャンペーンの場合、実施するだけではなくソリューションとして成り立つことが必要と語りました。

最後にザ・ストリッパーズ代表の遠崎寿義氏は、アウトドアメーカー『Snow Peak』のECサイト制作において、設計期、実装期、運用期に分け、メンバリングや各フェーズの要素という観点からプロジェクトを紐解き、解説しました。クライアントと正面から向き合って現状を理解、問題点をくまなく洗い出すことが肝要で、実はこれに多くの時間が費やされたこと、商品の機能や良さを伝えるために実際に自分で使ってみること、開発、実装、運用のそれぞれで果たすべき役割に応じてメンバー構成を変えながら、じっくりとサイトを育てていく様子について語りました。

トークディスカッション:業界を生き抜くためには?

トークディスカッションでは、ワン・トゥー・テン・デザイン代表の澤邊芳明氏をモデレータとして、ベースメントファクトリープロダクション代表取締役 北村健氏、エイド・ディーシーシー代表 富永幸宏氏、BIRDMAN代表 築地Roy良氏、イメージソース プロデューサー 上林新氏、ザ・ストリッパーズ代表 遠崎寿義氏が登壇し、事前にI.C.E加盟各社でとったアンケート結果を見ながら、進化する業界を生き抜くヒントを探りました。

今回の参加者の中には中途で業界を目指す人も多かったため、採用試験で重要視する具体的ポイントについてディスカッションしたところ、最も多く聞かれたポイントが「セルフプロデュース」。自分の見せ方については多く意見が交わされました。「どう見られるか、自分ブランディングは大事」(富永氏)、「一緒に面白いものが作れるんじゃないかと思わせてほしい」(上林氏)、「やってみたい、興味があると言うだけなら誰にでもできるが、それを実現するためにすでに行動を起こしているとアドバンテージ」(築地氏)など、自己アピールの方法にもあと一歩踏み出すことを奨励しました。

そしてもうひとつのポイントが「ストレス耐性」。テクニカルスキルはこの業界にいる以上ある意味当然に求められるところなので、一緒に働く上ではそこにヒューマンリテラシーが伴うとより有利であること、さらに、実は地道で負荷のかかる仕事の中でいかにうまくストレスを分散したり解消したりする能力があるのか、人の評価や意見に柔軟に対応できるのかという部分が重要視されていることは登壇者たちの声から伺われました。

業界を生き抜くためのコツをテーマとしたディスカッションでは「好奇心のアンテナ」に触れました。業界そのものの潮流は目まぐるしい速さで動いており、「今の正解もほんの数年後には通用しなくなるからこうすればいいとは言えない」(北村氏)、「どんどん移り変わるのでそもそものマインドとして好奇心旺盛でないとやっていけない」(遠崎氏)というコメントからもその激しさが伺われます。勉強会へ参加したり、ヨコのつながりをもって情報交換したり、とにかく新しいものを片っ端から探したり自分でも作ってみたり...。方法は色々ながら、自分の職域を超えてあらゆる方面に向けてアンテナをはってほしい、そして何にも増して「好きであること」が一番大切で、モチベーションを維持するための努力を惜しまないようにしてほしいというメッセージが送られました。

ディスカッションの最後は、平均年齢、男女比や職種別構成比などでI.C.E所属クリエイターを大解剖。業務満足度調査では、概ね高い満足度が得られており、その要素としては「職場仲間環境」「達成感」がトップでした。

「一緒に働く仲間のことを尊敬できる、影響を受け合えることと業務満足度には相関関係がありそうだ」(澤邊氏)と分析し、会社選びのポイントなるのでは、と締めくくりました。

大阪校では会場となった教室の造りから登壇者との距離が近く、参加者の方々は、率直な話に圧倒されたり、思わず笑ったりしながら盛会のうちに終了しました。

「インタラクティブ・プロダクション白書2015」、5月10日の福岡校での開催へとバトンをつなぎます。