MAY.21.2015

I.C.E × デジタルハリウッド 第1回 I.C.E学生セミナー「インタラクティブ・プロダクション白書2015」福岡校レポート

2015年5月10日(日)、I.C.Eはデジタルハリウッド福岡校にて「インタラクティブ・プロダクション白書2015」を開催致しました。
これは、デジタルコンテンツ制作の専門スクール「デジタルハリウッド」とI.C.Eが共催し、東京・大阪・福岡と三回にわたり実施してきたセミナー。最終回となったこの日は、I.C.E理事長である木下謙一氏(ラナエクストラクティブ代表)、富永幸宏氏(エイド・ディーシーシー代表)、小山大輝氏(エイド・ディーシーシー ディレクター)、村田健氏(ソニックジャム代表)、北村健氏(ベースメントファクトリープロダクション代表取締役)、澤邊芳明氏(ワン・トゥー・テン・デザイン代表)、阿部淳也氏(ワンパク代表)が登壇。約50名の受講者が集まり、これまでの中でもきわめて登壇者と会場の距離が近い、密度の濃いセミナーとなりました。

プレゼンテーション:制作者目線による事例紹介

木下謙一氏の挨拶の後、各社代表による事例紹介を行いました。トップバッターはワン・トゥー・テン・デザイン代表の澤邊芳明氏。

澤邊氏は大阪校で行ったプレゼンテーションと同じく、感情認識パーソナルロボット『Pepper』を紹介。近頃ソフトバンクショップやイベントなどにも進出し、各地で話題を呼んでいる『Pepper』の開発話とあって、熱い視線が集まりました。

二番手は、エイド・ディーシーシーのディレクター、小山大輝氏。

小山氏も大阪校の時と同じく『Eye Play the Piano』を紹介。これは(株)FOVEが開発した視線追跡型ヘッドマウントディスプレイ『FOVE』の技術を使用し、目線とまばたきでピアノを演奏することができるユニバーサルピアノシステム。研究開発の過程から、テクノロジーを生活へフィードバックさせるアプローチについて解説しました。

続いて、ラナエクストラクティブ代表の木下謙一氏が紹介したのは、楽天スーパーセールと連動したWebキャンペーン『楽天スーパーセールヒーローズ』。

これは、ユニークなヒーロー達が隕石から地球を守る期間限定ゲーム。ゲーム感覚でクーポンを獲得できるというキャッチーさがヒットし、シリーズ第3弾『楽天スーパーセールヒーローズ3』のプレイ回数は6,000万回を記録しました。ユーザーをゲームに惹き込むことによってユーザーエンゲージメントを高めていく、ゲーミフィケーションを活用したディレクションのコツが語られました。

最後のプレゼンテーター、ワンパク代表の阿部淳也氏は、ライオン(株)のオウンドメディア『Lidea』やワイナリー『シャトー・メルシャン』のブランドサイトを紹介しながら、仕事の進め方や、企業間コミュニケーションについて解説。

クライアントに向けてワークショップを実施し、一緒にプロジェクトをつくっていく独自の制作フローを紹介しました。同社が重視しているのはプロジェクト実現への道筋を計画する"プロセスデザイン"。制作過程を見直すことによって最適な制作環境をつくり、クライアントと一緒に戦略を練っていくことが可能となります。仕事の進め方を見直すアプローチは、日々の課題やプロジェクトにも生かせるアイデアだったのではないでしょうか。

トークディスカッション:各社の代表が現場の実情と採用者の本音を語る

後半はエイド・ディーシーシー代表の富永幸宏氏、ソニックジャム代表の村田健氏、ベースメントファクトリープロダクション代表取締役の北村健氏、ラナエクストラクティブ代表の木下謙一氏、ワン・トゥー・テン・デザイン代表の澤邊芳明氏、ワンパク代表の阿部淳也氏が登壇。阿部氏がモデレーターをつとめ、I.C.Eのクリエイターを対象に行ったアンケート結果をベースに、ディスカッションを行いました。

左から阿部淳也氏、富永幸宏氏、木下謙一氏、村田健氏

最初に、会場へ向けてインタラクティブ業界への就職希望者を尋ねると、約3分の1の参加者が挙手。ほとんどの参加者がリクルートに高い関心を持っており、採用の際に重視されることや、現場で求められるヒューマンリテラシーなどが話題にのぼると、参加者の集中力がぐっと高まるのが感じられました。

会場へ質問を募ると「就職後、仕事に対するモチベーションを保ち続けていくのは大変なことだと思います。社員の育成についてはどのように考えていますか?」という質問が寄せられました。

それに対して富永氏は、次のように返答。「僕達の会社では、案件に関わる中で育って貰おうと思っています。新卒の方にはヒューマンスキル研修などを行いますが、中途で入られた方には、最初からどんどん案件に関わって頂きますね。基本的に、自分でスキルアップしていって貰わないと先はないと思います」

それを受けた阿部氏は「いわゆるOJT(※1)的な、仕事の中でいかに自分を成長させるか、ということですね」と補足しました。
北村氏は「仕事を続けていくと、仕事に慣れてしまい、バイタリティを保つのに限界が来る。でも、本当に好きな人は『好きこそものの上手なれ』で限界が来ないんです。限界が来るか来ないかは、おそらく自分自身の精神的な部分が一番大きい。なので、自分の中に限界を作らず、新鮮な気持ちで仕事をしていく方法を探っていくといいのでは」とアドバイスしました。この質問を最後に、セミナーは終了。三回目の開催とあって、ややリラックスした雰囲気の中を本音が飛び交う、充実したセミナーとなりました。

北村健氏

全三回の参加者に向けて実施したアンケートの結果を見たところ「就職活動に悩み、何をしたらよいかわからなくなっていたが、自分の方向性や、やるべきことが見えてきた」「現場のリアルな声を聞けた」「思っていた内容と少し違っていたが、質問できる機会があり、深い話が聞けて良かった」「デザイナーとして/プログラマーとして、ということではなく、仕事をする上で重要なことがわかって良かった」などの意見が寄せられました。

セミナーは、参加者のニーズや関心を知る貴重な機会でもあります。とりわけ今回は、普段は関わる機会が少ない学生や社会人の皆さんとふれ合う、大変貴重な機会となりました。I.C.Eでは今回の経験をふまえ、今後もより充実した、実のあるセミナーを開催していきたいと考えております。

※1 OJT:On-the-Job Training。日常業務を通じた従業員教育のこと。業務現場における日常的経験の積み重ねによって就業スキルを向上させていくというもの。