デジタルコンテンツ制作の環境は新技術やトレンドの移り変わりによってめまぐるしく変化し続けています。去年の常識が今年の非常識となり、新たな常識の元でやるべき事が増え続けていると感じる方も多いでしょう。業務効率を上げるため、最善のゴールへ向けて関わる者たち全員が共通認識とする業務フローを持つことは非常に大切なことです。
この度、I.C.E.では多様化する制作環境の実態を会員社から知見として集め、分野ごとに業務フローを整理しました。ここに制作フローチャート(2017年版)として提示し周知することで、会員社のみならずデジタルコンテンツ制作に関わる発注主・制作者すべての方々にとっての共通認識、ひいては業界のスタンダードとなり、業務効率改善の一助となることを願います。
各作業(ステップ)には具体的な作業内容やI.C.E.として推奨する作業や見積のタイミングを付記しています。制作フローにおいては順序だけでなくタイミングも重要です。また、ここに示されていない作業も数多くあるので、活用にあたってはそれぞれ実情に合わせて加筆してください。
制作フローチャートの活用
制作プロセスの可視化によって発注主・制作者の役割分担も明確に。
制作フローチャートを共通認識にしてスケジュールを立てることにより、各段階で必要なことの準備や意思決定のタイミングが明確になります。
フィージビリティスタディや見積の信頼性向上へ。
各段階(フェイズ)に一般的な期間の目安を示しており、全行程におけるフェイズの配分やスタッフの拘束期間、工数の算出など考える上でのガイドになります。また、各段階における見積のタイミングを示しており、プロジェクト進行中の変化に応じた見積の提出を推奨します。
人材育成やリクルーティングで業務の理解を深める。
デジタルコンテンツ制作の現場には様々な業界から様々な経歴の人材が集まっており、会社によっても人によっても仕事の仕方が異なっています。業界標準となる制作フローチャートへの理解から進行上の齟齬を無くし、各ポジションの役割への理解も深まります。各社の基準がある場合は実情に合わせて改訂してください。
表現が多様化する中、自社の得意分野だけでなくメディア横断的な企画や制作を求められるケースが増えていると思います。最適なスケジューリングやスタッフィングで制作に臨めるよう、各分野の制作フローチャートが参考になればと願います。
制作フローチャートの見方
物事には順番があり段階があるとの考えから、それぞれ制作フロー全体を企画から納品・運用まで「企画」「設計(準備)」「制作(運用)」「管理」と、段階(フェイズ)に分け、また、ぞれぞれの段階に目安となる期間を示しました。
各段階にはそこで行われる作業(ステップ)を順番に並べており、段階の中ではこのステップを行き来するケースもあります。最後は必ず決定のプロセスを経て、次の段階へ進みます。
進行上、それぞれの段階を逆戻りすることが効率を下げ、工数増加の原因になります。逆戻りすることの無いように、各段階での決定事項は関係者内でしっかり確認することが大切です。
1.企画 (1ヶ月〜2ヶ月)
プレゼンテーション
企画決定
2.制作準備 (1ヶ月〜2ヶ月)
スタッフ編成・打合せ
- ・ディレクター選定
- ・その他スタッフ選定
- ・スケジュール
- ・第一次見積
演出コンテ作成
制作打合せ
- ・メインスタッフ打合せ
- ・キャスティング
- ・ロケハン
- ・オールスタッフ打合せ
- ・プリビズ
- ・機材選定/発注
- ・美術/衣装発注
- ・第二次見積
準備
最終確認
制作内容・方法決定
- ・P.P.M.
- ・P.P.M. 見積