JUNE.27.2016

「I.C.E リクルートセミナー」@大阪芸術大学 レポート

5月26日(木)、大阪芸術大学にてI.C.E リクルートセミナーが行われました。将来、インタラクティブ・クリエーションに触れたい学生に向けて、実例を交えながら実際の仕事への想像力をかき立てるような催しとなりました。

登壇者は、大阪芸術大学デザイン学科教授の福田敏也氏をファシリテーターに迎えて、I.C.E加盟各社代表から、小池博史氏(株式会社イメージソース)、澤邊芳明氏(株式会社ワン・トゥー・テン・デザイン)、富永幸宏氏(株式会社エイド・ディーシーシー)、原冬樹氏(株式会社ワンパク)が、案件の紹介と質疑応答で登壇しました。

デジタルクリエイション業界を見取り図で紹介

まずは福田敏也氏から、基礎知識としてデジタル系のコンテンツを取り扱う会社の形式や職種をずらりと並べた図をスクリーンに投影して説明が始まりました。

デジタル系の会社の種類は、大きく分けて「広告制作会社」「独立系のクリエイティブエージェンシー」「総合制作会社」「グラフィックデザイン会社」「ウェブ制作会社」「映像制作会社」「イベント系の制作会社」などに分類されます。

現在は仕事の内容はどんどん多様化して、働く人の中に美大を卒業してグラフィックデザイナーから独学でプログラマーになる流れもあり、現状はひとことでは説明しきれないようです。

本日登壇する会社の多くは「総合制作会社」に当てはまり、今後は独立系クリエイティブエージェンシーになろうとしている会社。会社の特徴として主に扱っている業務内容が、「映像」「グラフィックデザイン」「ウェブ」「デバイス」「イベント」などが中心です。各社ごとにそれぞれの得意領域が違いますが、今の時代ならではの「デジタルとリアルの境目がない仕事」をカバーしているといえるでしょう。

こういった日本の業界は他の業界と違って独特な特徴があります。日本の広告賞ではインタラクティブ系やデジタルの作品をエントリーする部門がないので、広告賞を取るには海外に出てカンヌライオンズなどにエントリーして、海外で腕試しをするしかない。そのため、国際レベルの制作を行い、こういった日本の会社は海外でも有名で評価が高い会社が集まるようになったそうです。

登壇した4社による案件の紹介

その後は、4社による社のプレゼンテーションが始まりました。

まずは、株式会社イメージソースの小池氏から。株式会社イメージソースは、98年に立ち上がって当初はWeb制作から始まり、今年で19年目。紙、グラフィック、映像、イベントなど制作のアウトプットを広げています。今回は上海の巨大ショッピングセンターの踊り場で展開された、グリコのプロモーションイベントを紹介。これは、グリコの箱を使った、大掛かりなキネティックアートのインスタレーション。大量に陳列されたお菓子の箱が動いて、自分の顔が陰影で表示される仕組みになっています。

次は、株式会社ワン・トゥー・テン・デザインの澤邊氏のプレゼンテーション。ワン・トゥー・テン・デザインは、天王洲アイルにオフィスがあり、有名な案件では、Softbankのペッパーのゲームエンジンを開発や、オリンピックの組織委員会のアドバイザーも行っています。最近では、京都水族館でのインタラクティブアート作品「雪とクラゲ」や、京都の雪景色を模したプロジェクションや演出を展開。京都の新しい観光名所として、デジタルコンテンツを軸としたPRにまつわる話を紹介していました。

そして、海外でも展開している株式会社エイド・ディーシーシーの富永氏。2000年からWeb業界、デジタル業界に入ることになり、最近の仕事の形態は一気に多様化。「一体何屋なんだ?」といえる状況だと語ります。

最後に株式会社ワンパクの原氏から。コンサルティングから制作まで一貫して"ワン・パッケージ"で行うという、ダブルミーニングがある社名。代理店を通さずに直接取引をしてコーポレートプランニングやサービスプランニングが主だと語ります。
最近では、通信教育媒体、進研ゼミのiPadアプリの提案から制作や、国内でシェアナンバーワンを誇る老舗のフォントメーカー、モリサワさんのコーポレートブランディングなど行ったそうです。まずは制作したブランディング用のイメージ映像を上映。「文字が生活の中で欠かせないもので当たり前のようにある、そこを支えているのがモリサワさんで、それを映像化しました」。そのほか、書体の社内管理のシステムまで手掛けるなど、企業全体のブランディングの統一感を図った案件を紹介していました。

ディスカッションから質疑応答へ

各社のプレゼンテーションの後、参加した学生と登壇者による質疑応答形式のディスカッションがスタート。採用形式も多様化するいま、現代ならではの採用方法や、担当者たちのリアルな声が飛び交いました。

「FacebookやWantedlyなどのメディアを使って、自分の方からアプローチしてくれる方を選考していく、待ちのスタンスです」(ワン・トゥー・テン・デザイン澤邊)

「うちも基本的には待ち。 ポートフォリオを見るのももちろん大事なんですけれど、ちゃんと自分たちの会社を好きになってくれるかが一番の条件ですね。その仕事が好きじゃないと仕事になりませんから」(エイド・ディーシーシー富永)

「ぼくたちの制作案件は、なかなか一般メディアに載りにくい。その分、頑張ってこの会社見つけてくれた人は基本的にウェルカムですね。こういうイベントの場で、直接コンタクトを取ってくれるとチャンスが広がると思います」(イメージソース小池)

「誰でも活動歴が気になったらググりますよね。履歴書を見ると同時に、FacebookやTwitterを見てしまいますね」(エイド・ディーシーシー富永)

「日本は不景気なので、なかなかやりたい仕事で採用されることは少ない。後からこんなことがやりたかったと疑問を持つよりも、本当に自分が何をやりたいのか、自分を見つめる時間を作ったほうがいい」(ワン・トゥー・テン・デザイン澤邊)

数多くの仕事をこなしてきた方々のリアルな発言に、集まった学生たちは聞き入っていました。終了後は登壇者たちを学生が取り囲み、イベントならではの交流が計られました。