I.C.E. 加盟社間での意見交換をしたり、親睦を深める目的で定期的に行われているWG(ワーキング・グループ)。今回は、広告プロモーションすべての領域を総合的に請け負うプロ集団として知られる、株式会社パズルにて開催しました。"映像にもWEBにも強い"と業界で認知されている同社。そのワークフローや社員教育には、ユニークな哲学が反映されていました。
パズルのエントランスには、数々の映像作品での受賞を物語る表彰盾やトロフィーがディスプレイされています。
平均年齢28歳の若い力が活躍
サラリーマンの憩いの場、新橋のSL広場から徒歩5分程度。喧騒を抜けた先のオフィスビルにあるパズルは、CM制作会社から独立した岡田行正氏が平成18年に設立。今年の7月で13期目に入る同社は、TV-CM等の映像、WEBサイトやアプリ、グラフィック、イベント等、広告プロモーションに関わる全ての領域において、企画、制作、運営を一貫して行う、総合制作会社です。
まずは、プロダクションマネージャーの神谷菜美さんから、簡単な会社紹介とともにメンバー構成についての説明が。
進行を務めたプロダクションマネージャーの神谷菜美さん。
「現在は、32名が在籍しています。」
新卒で入社したら必ずプロダクションアシスタントを経て、その後各々がデザイナーやエンジニアといった希望の専門職に就くといいます。神谷さんは「それがパズル式キャリアパスの大きな特徴」だといいます。
まずは、プロジェクトの全体像を俯瞰で把握する能力を養ってから、スペシャリストを目指す。そんな、会社にとっても社員にとっても有益な人材育成プランを実践しているのです。
クライアントワークはすべての要望を多面的に具現化する
続いて、高井佑輔さんより具体的な制作事例を交えながらクライアントワークの説明がありました。高井さんは、新卒で入社し今年で5年目となる映像制作が得意なプロダクションマネージャー。2年ほど前に制作した代表作をいくつかピックアップして、現場の裏話なども交えてご紹介いただきました。
第一線で活躍するプロダクションマネージャーの高井さん。
【クライアントワーク #01】freee株式会社「アクロバティック部長」
クラウド会計ソフトfreee(フリー)のウェブムービーとサイトをゼロから作るという案件。オリエンの内容は、"管理部長の気持ちになったコンテンツ" というざっくりとしたものでした。「ハンコひとつ押すためだけに会社に呼び戻された管理部長が、街を駆け抜けていくサマを、コミカルかつ躍動感たっぷりに表現しています」と高井さんからの解説。スタントを使わず、全て本人が演じているそうです。
【クライアントワーク #02】ジェイアール東海エージェンシー「キャラクターストリート」
東京駅一番街にあるキャラクターストリート10周年に際して、アニバーサリー用ムービーを制作。イベントとの連動も意識したいとの要望を受けて、キャラクターと一緒に踊れるものを提案しました。キャラクターは全部で15体、エキストラは60名以上という大掛かりな撮影。しかも撮影時間は2時間というタイトなスケジュールでした。「紙吹雪も飛ばしたため撤収が大変だった(笑)」と高井さん。映像は東京駅のデジタルサイネージ等で使われています。
【クライアントワーク #03】株式会社ゲオホールディングス「セカンドストリート」
リユースショップ「セカンドストリート」のサイトリニューアルとコンセプトムービーを同時に手掛けました。ムービーは、"ダイニングテーブルの目線" で家族の様子を写したストーリー仕立てになっています。「クライアントがWEBサイト掲載用に作成した3分映像を気に入ってくれたことで、CM制作までプロジェクトが膨らみました」と、高井さんよりクリエイティブの嬉しい展開も語られます。
クリエイティブの感性と行動力を磨く社内プロジェクト
パズルは、あらゆる案件を企画、プロデュース、ディレクションと、トータルで請け負うのが基本です。そのための社員のトレーニングの意味合いもあり、社内プロジェクトの制作も積極的に行っています。
続いて神谷さんからは、そんな社内プロジェクトのひとつである「.tokyo」の紹介がありました。
このプロジェクトは、2015年に"2020年までに東京にまつわるあらゆるコンテンツを30個作る"という命題で始動したもの。巨大都市東京の魅力をあらゆる視点から切り取ったユニークなコンテンツが、もうすでに20タイトルほどアップされています。
「.tokyoは、バックオフィスのスタッフを含む全社員参加のチーム制で制作を進めています。決められた予算内でアイデアを出し、試行錯誤してコンテンツを仕上げるというクリエイティブの真髄を知ることができます」と神谷さん。他企業から見れば、羨むような規模と頻度で行われる社内プロジェクトではないでしょうか。
最後に、高井さんより東日本大震災に対するパズルの復興支援プロジェクト、「3.11」の説明がありました。
これは、津波の被害を受けた岩手、宮城、福島のさまざまなスポットに定点カメラを設置して、毎年春にタイムラプス方式で撮影を行うというプロジェクト。社内では"忘れないプロジェクト"呼ばれています。
「そのアーカイブを公開することで、毎年確実に変わりゆく街の様子、復興の状況が確認できます。パズルに接点を持った人たちが震災を思い出すきっかけになれば、という思いが詰まっています」高井さんのお話には熱がこもっていました。
WG終了後は、恒例の懇親会が開かれ、リラックスしたムードで談笑が始まりました。映像制作に関する多くのノウハウを持ち、スペシャリストを育てる環境が整ったパズルに、参加者も興味津々といった様子。各々の現場の視点から、あらゆる意見交換が行われました。