一般社団法人Interactive Communication Experts (I.C.E.) は2018年12月11日、東京都内で2019年度定時社員総会と懇親会を開催しました。定時社員総会の後に行われた懇親会には、000名ものインタラクティブ業界の方々にお集まりいただき、思い思いに交流を深めていただきました。
デジタル業界全体に貢献するために、これまでよりも開かれた団体へ
懇親会は、I.C.E.を代表し小池理事長からの挨拶で始まりました。「I.C.E.は、設立から7年目を迎えました。インタラクティブ業界をみんなで盛り上げていこうという思いで活動を続け、加盟社も今年度で21社になりました。今後もデジタル業界全体に貢献するために、“働き方改革” の実現に取り組んだり、人材育成など業界のスタンダードを作っていったりと、様々な活動に取り組んでいきたいと思っておりますので、色々とご協力をよろしくお願いします」
その後、富永理事 (株式会社エイド・ディーシーシー) より乾杯の挨拶が続きます。「I.C.E.は、構想から含めると10年以上活動を続けており、加盟社が20社を越え、ようやく業界としてやっていけそうなチームワークになってきたと思います。今日の懇親会を通じて皆様にI.C.E.について理解を深めていただければと思います」参加社全員で乾杯、和やかな雰囲気のなかで、それぞれが食事や飲み物を楽しみつつ交流を深めます。
働き方改革や人材育成など、業界のスタンダードの確立に向けての活動
しばらくの歓談の後、今回参加された皆様に向け、阿部理事より、I.C.E.の活動についてプレゼンテーションがされました。
「よく “I.C.E.って、何をしているのですか?” と聞かれるのですが、I.C.E.が目指しているのは業界のスタンダード作りです。今日の懇親会のように業界の人たちが集まることで、知見やノウハウを共有でき、会社の悩みや個々の課題が解決できると思いますし、昨今言われている働き方改革についても業界全体で考えることによって、ひとつの方向性を見出すこともできます。I.C.E.の活動が業界だけでなく広告代理店やクライアントなど様々なところに影響を与えるにはまだ加盟社が足りないと思っています。このプレゼンでI.C.E.に対してご理解いただき、共に活動してくれる加盟社が増えることを願っています」
冒頭でこのように述べた後、マネジメント委員会、人材育成委員会、ビジネス委員会、広報委員会の順にそれぞれの役割と2018年の活動内容について、プレゼンがされました。
I.C.E.はマネジメント、人材育成、ビジネス、広報の4つの委員会があり、その配下にそれぞれ分科会で成り立っています。
●マネジメント委員会
<労務・労働環境分科会>
デジタル系の制作会社としての働き方を見直すために加盟社間で何ができるかを真剣に考え、共有できるナレッジとして蓄積し、団体として外部に発信する委員会。2018年は経営者から現場スタッフまで幅広くアンケートを募り、ニュースリリースとして内外に情報を開示、労働問題と真に向き合い、改革の精神でいることを宣言しました。
<Press Release>デジタルクリエイティブ業界の働き方改革をI.C.E.が宣言!
http://i-c-e.jp/news/press/000402/
●人材育成委員会
各企業の採用に関する取り組みや経験などの知見を結集。ICE主催での採用・人材育成イベントの企画・実施などを目的として活動している<リクルート>と、会員社同士のコミュニケーション推進を目的とした<I.C.E. BREAKER>と<WORKING GROUP>、合計3つの分科会を有しています。
2018年のトピックとしては、リクルート分科会にて人材育成セミナーを実施。博報堂ケトル嶋浩一郎さんを外部講師としてお招きし実施した講演会「時代が求めるコミュニケーションアイデアのつくりかた」はたいへん盛況でした。
<リクルート/人材育成セミナー>
http://i-c-e.jp/report/2018/000412/index.html
<I.C.E. BREAKER>同業種のスタッフ同士が情報交換や交流を深め、業界全体の活性化を目指す。
http://i-c-e.jp/news/event/000391/
http://i-c-e.jp/news/event/000407/
http://i-c-e.jp/news/event/000414/
<WORKING GROUP>各社現場スタッフ同士のリアルなコミュニケーションを高める事を念頭に、各社の制作ナレッジ共有などの企画を行う。
http://i-c-e.jp/news/topic/000404/
http://i-c-e.jp/news/topic/000419/
●ビジネス委員会
法務関連全般、定款や会員規約の改訂のほか、契約書様式などの取引基盤の整備を行う。業界が抱える法的リスクの問題点や改善すべき点ついて解決することを目指す<取引整備分科会>と<制作分科会>とがある。
<制作分科会>では、発注主・制作者双方にとっての効率改善のため、作業務の流れ・手順に共通の理解を促し、用語の統一を図っており、2018年は制作プロセス、ドキュメント、見積など各種フォーマットを発表した。
<Press Release>「わからない」をなくして日本のデジタルクリエイティブ業界をクリアに。誰でも使える共通のフローチャート及び各分野の見積書式をリリース
http://i-c-e.jp/news/press/000376/
●広報委員会
業界へのI.C.E.の認知向上、I.C.E.所属会員の獲得、広報事務局としての活動や外部団体とのつながり強化を目的とし行動する<広報分科会>と、各社における情報共有、交流の促進。インタラクティブ業界におけるICEの認知、理解の促進を目的とする<I.C.E. Creative Lounge>とがある。
2018年はより情報発信を強化、二度開催した<I.C.E. Creative Lounge>はI.C.E.内外から多くの参加者が集まり盛況であった。
http://i-c-e.jp/report/2018/000399/
http://i-c-e.jp/report/2018/000420/
阿部理事のプレゼンの中で、注目すべきポイント2つ。ひとつは、インタラクティブ業界における“働き方改革”です。I.C.E.ではマネジメント委員会が中心となって「労働環境実態調査」を2018年度より行なっています。この調査は各社の労働時間、有給休暇の取得状況、福利厚生だけでなく、現場スタッフの労働環境に対する悩みや各社が抱えている課題などリアルな声を集めることで、インタラクティブ業界の労働実態をより明確にし、経営者だけでなく現場のスタッフと共有してもらうことで、各社、各自の意識改革につなげていくのが目的です。また、この調査は定則データとして毎年行い、ニュースリリースで発表することでインタラクティブ業界の“働き方改革”を内外に広く向けてアピールしていきます。
そしてもうひとつは、人材育成です。I.C.E.では加盟社に向けて、トップクラスのクリエイターによるセミナー、会員同士の交流会、会社訪問などを実施しています。昨年度、初の試みとして行なったのが、SXSW(South by Southwest サウス・バイ・サウスウエスト)やカンヌライオンズに参加したクリエイターによる現地レポート会です。加盟社の社員は無料で参加でき、インタラクティブ業界の世界的トレンドをいち早く聞けるとあって、どちらの会も大盛況でした。さらにリクルートでは、学生にインタラクティブ業界に興味を持ってもらうためのイベントを東京と大阪で実施。またI.C.E.が窓口となり、学生インターンを募集するなど、学生に対しても積極的にアプローチをしていきます。2019年度も加盟社の社員に向けた施策を実施することで、業界全体のレスポンスをあげていきます。
さらなる発展に向けて、他の広告業界団体との交流を
最後に、I.C.E.の賛助会員である電通の沼澤忍氏より応援スピーチをいただきました。沼澤氏は一般社団法人 日本広告業協会の制作取引小委員会委員長でもあります。
「広告業界では、インタラクティブ系やメディアの実態はわかっていましたが、制作の現場の話がなかなか伝わってこない状態でした。それではいけないと、I.C.E.を紹介していただき、この1年ぐらい交流をしております。広告業界も様々な団体がありますが、皆さんはぜひ一般社団法人 日本ポストプロダクション協会や、公益社団法人 日本広告写真家協会といった他の団体と情報交換することをお勧めします。なぜなら、請求のプロセスや仕様書、業務委託など様々な交渉ごとや、保険制度の制定など参考になる事例がたくさんあるからです。そして団体同士だと、受け手側も交渉しやすいというメリットがあります。今後、一緒に成長していければと思っていますので、どうぞよろしくお願いします」
最後に木下理事 (株式会社ラナエクストラクティブ)より「I.C.E.は、理事の皆さんが一生懸命誘致活動を行なってきた結果、徐々に実りつつあります。I.C.E.がインタラクティブ業界にとって意義のある団体になるよう我々も精進してまいりますので、引き続きよろしくお願いします」と述べ、会を締めました。
会場では歓談の間、名刺交換が積極的に行われ、お互いの仕事について語り合うなど、あらゆるところでコミュニケーションの輪が広がっていました。作品では伝わらない制作プロセスの苦労などを共有したり、理事へ積極的に質問をしたりするなど、活発な意見交換が行われていました。
I.C.E.は2019年度もインタラクティブ業界をより活性化するために、独立系プロダクションに限らず幅広く会員を募集しております。ご興味のある企業もしくは個人の方は、当サイトのお問い合わせよりご連絡ください。