20年の実績があるサーバサービス(フォーク)
サーバエンジニアである上倉さんによる、フォークのサーバサービスの変遷に関する発表から「I.C.E. Meet & Greet」はスタートしました。
上倉:「フォークは1999年に設立されました。現在社員は200人程度、Web制作とDX化推進と大きく2つの軸で事業をおこなっています。サーバ提供を始めた時期が2003年と業界内でも古く、当時はデータセンターを使い、自社で作成したホスティングマネージドサービスをおこなっていました。現在は、AWSやGCPのようなクラウドサービスが中心で、昨年オンプレミス環境の提供は終了しています。いまサーバチームは6~7人と少数ですが、AWSではAPNコンサルティングパートナーに、Google CloudにおいてもSellパートナーに認定いただいております」
リモート時代に適応したデザイナーの交流活動(フォーク)
1つめは、月1回程度での「座談会での横断的な交流」。ランダムに選ばれた約4名のデザイナーが、ひとつの部屋に入ってリモートで交流するというものです。そこでは、デザイナーの仕事やトレンドについて、さらにはプライベートな話まで自由に語らう場所として機能しています。
2つめは、「知見を深める横断チームの活動」。ここでは、自分たちの関連領域についてチームで調べたり、実際に制作をしたりといった活動をおこなっているとのことです。
そして3つめが、「Instagram / noteへのアウトプット習慣」。今回のプレゼンテーションでは、社外からの注目度が高いこの活動についてのご紹介となりました。
まずはInstagramを活用した活動の紹介です。フォークのデザイナーチームでは、予め決められた毎月のテーマから個人が自由に選択、イラスト/グラフィック/作字/動画/立体など表現方法も自由に制作し、投稿をおこなうアウトプット活動をしています。
前田:「投稿は2年間で1100を超えました。メンバーには、デザイナーによるアウトプットであることを意識するように依頼しています」
プレゼンテーション後半では、現場で活躍するデザイナーに向けた前田さんのあたたかい言葉が続きます。
前田:「仕事に追われるとインプットに偏ったり、新しいソフトを試すことが億劫になったりしてしまいます。だからこそInstagramやnoteというジムでトレーニングしていく必要があるのではと思います。また、オープンな場所で発信することで、クオリティへの意識が高まるだけでなく、他人の意見が聞けることが刺激になっているという声もあります」
そして社内活動として機能させるためには、運営チームとしてどのような活動をしているかについても語られました。「目標」「実行」「反応」「報酬」といったサイクルを生み出すため各セクションでどのような行動を仕掛けているのか、質疑応答では多くの参加者から質問が寄せられました。
時代が変遷してもエキスパートであり続ける(ザ・ストリッパーズ)
ザ・ストリッパーズのプレゼンテーション前半は、同社代表でI.C.E.理事でもある遠崎さんより会社概要説明と設立から現在までの事業内容の変遷、クライアントワークの詳細が語られました。
遠崎:「社員は業務委託含めて現在24名。エンジニアが半数以上で、役員含め全員がプレイヤーとして活動をしています。また、コロナをきっかけに2020年4月よりフルリモート勤務となりました。それに合わせ、9月に会社を移転しています」
ザ・ストリッパーズは、デジタル技術を中心とした広告 / アプリ / サービス / システムなどの企画 / 制作 / 運用保守等をおこなう制作会社です。現在は「逆転オセロニア」の開発が仕事の大半を占めているとのことですが、2005年の設立時はWebや広告の制作からスタート。Cannes Lions / ADFEST / The One Show / D&ADなど広告賞も多数受賞しているインタラクティブ業界の老舗企業のひとつです。
Flash全盛期であった設立から2011年頃まではFlashを使った広告キャンペーンサイトを中心に制作を、iPhone発売により台頭したスマートフォンアプリについても、当時から現在まで、キャンペーンはもちろん長期運用まで様々なデジタル制作を担当、大規模開発のデジタル制作全般の指揮をとるまで、時代に即した知見と技術を確実に高めてきた企業ともいえるでしょう。
ザ・ストリッパーズが2014年から現在まで、ビッグタイトル「逆転オセロニア」の開発を任されているのも、ゲームとSNSを連携させて話題を生み出す制作を得意とし、成果を積み上げてきたから同社だからこそできる案件なのではないでしょうか。
その後は、この「逆転オセロニア」の開発体制やワークフローについて詳しく説明があり、参加者は真剣な様子で聞き入ります。
R&Dプロジェクトをおこなう理由と意義(ザ・ストリッパーズ)
森:「1つめの理由は、『新たな知識の技術の蓄積と実績』です。大きなプロジェクトでは試せない技術を試せる場所であり、自分たちのできることを外向けにアピールするものでもあります。
2つめの理由は、『自社コンテンツによる新しい展開と発展』です。仕事のメインは受注案件になりますが、別の軸足としてオリジナルタイトルのゲーム、アプリ、キャラクターを模索しています。
3つめの理由は、『社内リソースの有効活用』です。大型プロジェクトのピークに耐えられる体制になっているので、時間に余裕がある時期に、何か挑戦できるようにしています」
森:「スマホゲームを作るノウハウが溜まっていたので、それを生かしたかったというのがきっかけのひとつです。また、デザイナーやイラストレーターの人員がいたので、こういったアプリを作りました。実装面では、これまで試したことのなかった、バナー広告や動画広告などでおこなわれるKPI測定ツールを導入し、小規模ですがPRもおこないました」
続いて、2022年にリリース後、アップデートしながら現在も運用しているVRアプリ「PUNCH FIT」が紹介されました。
森:「『PUNCH FIT』は、VRをやってみようというのがスタートです。また、スマホ以降の新しいインターフェイスやコンテンツを考えるきっかけになるだろうと始めました。そのうえで、VR酔いがしにくく、移動が少なくて済む、スマホアプリでなくVRアプリでできることは何かを考え、フィットネスをテーマにしました」
制作においては、基本動作をストレスなくおこなえるようにしたと語ります。つまり、音や振動などのズレなどがなく、当たり前に動くことを大事につくられています。また、正しく身体を動かすことで、フィットネスとして効果があるようトライ&エラーを重ねていったそうです。
フローにおいては、リサーチから開発、PR、アップデート・運用まで、すべての工程を自分たちで経験して実行することを重視していると森さんは続けます。
森:「自分たちの守備範囲の前後を知ることで、他案件の提案の幅が広がることに意義を感じています」
森:「世界中のユーザーにプレイされている『PUNCH FIT』(英語版のみの無料アプリ)はは、レビューも高評価。星5つの評価が多いだけでなく、コメントを読むと、自分たちがこだわった点がちゃんと評価されていて嬉しい限りです。レビュー動画やプレイ動画をアップしているユーザーも多く、彼らから得るフィードバックを今後の開発に活かしています」
その高い評価により、中国市場から委嘱依頼を請け、今年3月末に中国版『PUNCH FIT』もリリースもされたとのことです。
森さんからは、小さなR&Dプロジェクトでも、きちんと世の中で楽しんでもらえるレベルまで高めたうえでリリースをすることの大切さ、直接ユーザーとコミュニケーションが取れる楽しさについて語られ、ザ・ストリッパーズのプレゼンテーションは終了しました。
その後、質疑応答を経て、懇親会がおこなわれました。
会場となったフォークの社員休憩室兼レクリエーションルームでは、クローズドならではの踏み込んだ質問が飛び交い、活発な交流会となりました。
I.C.E.からは「今後もリアルで皆さんが集まれる機会を増やしていければと思います。ぜひ足を運んでみてください」と、対面での交流をより促進していきたい考えが伝えられました。
次回の開催もぜひご期待ください。
取材・文/富山英三郎|Eizaburo Tomiyama