2026.03.03 人材育成委員会 EVENT REPORT
デジタルクリエイティブの業界団体であるI.C.E.と、マーケティングの業界団体であるDMI(公益社団法人日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構)が共催するクリエイティブアワード『U35 Creative & Communication Award』が、今期も開催されました。
本記事では、第3回の開催となった本アワードについて、2025年11月12日に開催された最終審査会や2025年12月4日におこなわれた贈賞式を中心にレポートします。

株式会社サンリオが課題提供

『U35 Creative & Communication Award』は、さまざまな企画の仕事に携わる35歳以下のビジネスパーソンを対象に、挑戦と経験の機会を提供することを目的として開催する、年1度のクリエイティブアワード。

協力企業様より実際の事業に即した具体的な課題をご提示いただき、応募者は企画書形式でエントリー、コミュニケーション課題を解決するアイデアとクリエイティブを競います。2025年は株式会社サンリオ様に課題提供いただきました。(※応募詳細はこちら

課題
課題提供会社:株式会社サンリオ

商材 : Sanrio+
URL:https://www.sanrio.co.jp/sanrioplus/

課題概要:
Sanrio+のアクティブユーザーを増やし、ファンの“好き”を育てる施策提案

(※オリエンテーション資料と動画あり)

座学や職務上だけでは学べない、より実践的な思考力や課題解決力を鍛えることができる本アワードをとおして、若手のみなさんが、経験も実績も自信も得られる機会を提供するため、クリエイティブ領域の業界団体であるI.C.E.と、マーケティング領域の業界団体であるDMIが協力して取り組み、企画から運営、そして応募や審査*に至っても35歳以下のメンバーでおこなっています。(*例外として課題提供社からの審査員に年齢制限はなし)
2つの団体が属するクリエイティブ業界とマーケティング業界は、社会や業界の課題を共に解決していくパートナーです。両団体が協力してアワードを開催することで、活気ある若手クリエイターと若手マーケターとの出会いの場をつくり、新たな価値創造の場が生み出されることを目指しています。

2025年応募者の特徴

2025年の応募は、制作会社・広告代理店・コンサルティング会社などクリエイティブ関連会社に所属の方からの応募が約91%と大多数を占め、事業会社からは約3%、学生から約6%の応募がありました。職域は回答の多い順で、プロジェクトマネージャー、企画職(プランナー/コピーライター)、デザイナーでした。

昨年までと比較し特徴的であったのは、①1課題あたりの応募総数が約60%増加したこと、②応募に占めるI.C.E.会員社の割合が約35%と減少し一般参加者が増加したこと、③最終審査会の選抜においても5名中4名が一般参加者であったこと、④1名での応募が約半数を占め増加したこと(昨年までは2人1組の参加が大多数であった)でした。

これらの事実から、開催初年度や次年度と比較し、本アワードが業界における一般認知が広がり、若手の挑戦を後押しするアワードとして成長したのではないかと考察されます。

選考基準と一次書類審査

選考基準:
企画書のデザインや体裁、完成度ではなく、マーケティング上の効果を見込める斬新なアイデアを審査・表彰します。 
▪課題のテーマや目的にあった企画であること
▪市場や競合、顧客の環境理解を踏まえた企画であること
▪具体的な成果が見込める企画であること
▪課題の特徴を捉えた創造性のある企画であること

アワードでは上記を選考基準として、一次では応募いただいた企画書から書類選考、そこで選ばれた5組が二次の最終審査会でプレゼンテーション、課題提供社と事業会社に所属するDMIの審査員が審査をおこない、受賞者が確定します。

2025年9月4日に課題が発表され、応募締切日まで与えられた期日は40日間。1名もしくは2名1組で応募できますが複数のアイデアを応募される方もいます。

一次審査において、総評をすべての応募者に対し必ずフィードバックされるのも、このアワードの特徴です。最終審査会の詳細は非公開のため割愛させていただきますが、一次の選考でも非常に細やかな評価項目で点数化と議論を重ね、DMI加盟社の審査員10名が選考をおこないました。

なかには、キャッチーなコピーや斬新なアイデアだとしても具体性に欠けていたり裏付けが甘い、分析力は高くても若手ならではの目新しいアイデアがない等の手厳しい内容もありつつ、実際に審査でコメントされた企画書の良い点や改善点が詳しくフィードバックされるので、惜しくも落選の結果であったとしても、実務に即した企画提案の学びを得ることができます。普段は上司の助言やチームで企画と向き合っている若手スタッフにとって、事業会社の方にダイレクトな意見を頂戴できることは、またとない機会であり、応募いただいた方は自分の企画の伸び代を発見できたのではないでしょうか。惜しくも選考から外れた方のなかには「普段実務で関わらない部分が企画の穴となった」といった意見もありました。対して今回の受賞者は、通常業務の合間を縫って20時間前後ほどの時間を捻出し、普段の業務とは異なる領域や企画づくりに挑戦したと語りました。

今期I.C.E.でU35プロジェクトの代表を務めた脇田洋輔さん(株式会社パズル/プロデューサー)は、審査について次のように振り返りました。

「制作会社で手を動かしている私たちは普段 “クリエイティブに充てるための制作” をやりがちで、若手のなかには、代理店さんがクライアントさんにしている提案内容とにギャップを感じる方も多いのではないかと思います。事業者さんが評価する与件整理、全体設計、企画書の立て方など、差がわかると実務でも役にたつ。ただ受賞を勝ち獲るだけでない、実践の機会としても、このアワードに参加する大きな意義があります」(脇田さん)

最終審査会に進んだ方の特徴

2025年10月23日、一次書類審査通過者5組が発表されました。
今期選考された5組の企画においては、課題提供社がターゲットとしている層との接点や消費行動がフィットしたものであることがまずクリアされていました。これについては課題提供社がオリエンテーションで課題や情報提示をされていましたが、一次落選に至った応募者の多くが審査員の水準を満たせない結果となっていたことは、今期の選考における特筆すべき点のひとつでした。ブランドやサービスへの理解と分析がクライアントと限りなく一致することで、はじめてそのお悩みの解決にあたれる──まさに普段のクライアントワークそのものです。

そのような特徴がみられながらも選ばれたのは、強いコアアイデアが光るもの、施作展開が期待されるもの、ストーリーが秀逸なものとそれぞれ。一次審査のフィードバックは最終審査会に進出した方にもおこなわれるため、最終審査会までどのように改善に臨んでいるかも注目されることになります。その点から、アイデアとしての目新しさはないが企画書の出来から大きく跳ねる可能性を期待され選考された例もありました。

そして2025年11月12日、各組のプレゼンテーションによる最終審査会がおこなわれました。
3週間のブラッシュアップ期間を経て、最終審査会に進んだ5組。課題提供社と審査員の前でプレゼンテーションをおこなうとあって、緊張の面持ちで会場に集まりました。
最終審査会に進出した5組は次の通りです。
・野本 優香子さん(株式会社ブートストラップ)
・福田 彩乃さん(株式会社パズル)
・近藤 昌太郎(株式会社電通デジタル)
・木野 咲さん、加藤 茶子さん(N35インターナショナル株式会社)
・瀧田 凱斗さん、佐藤 瑞樹さん(株式会社サイバーエージェント)

審査の実際

最終審査会には、U35 C&CA運営審査員とDMIのゲスト審査員に加え、課題提供社である株式会社サンリオから、鈴木 理恵 様(デジタル事業本部 デジタル事業開発部 CX推進課 シニアマネージャー)、田口 歩 様(デジタル事業本部 デジタル事業開発部 CX推進課 顧客体験プラットフォーム戦略推進担当)に審査いただきました。

会場は東京銀座にある日本アドバタイザーズ協会です。I.C.E.やDMI会員は希望者が見学でき、静まり返った広い会議室は、緊張感漂う雰囲気です。

プレゼンテーションの順番は当日会場で発表され、いよいよ各組のプレゼンテーションがおこなわれます。プレゼンテーションは各組10分間、その後質疑応答が5分間と設定し進行されました。

審査員の質問では、今回のターゲットとした「ライトユーザー層」に対する解像度について問われる場面が多く、次いで、施作をリアルやデジタルで実装した場合のハードルや解決方法などについても投げかけられ、回答によっては難色を示す場面もありました。
前述した「選考基準」をどの程度満たしているのか、審査員は目を光らせながら質問を投げかけていたようです。
プレゼンテーション終了後、審査員は別室へ。審議中には参加者の交流会が開かれました。

最優秀賞/優秀賞 授賞者の発表

結果、最優秀賞はN35インターナショナル株式会社の木野咲さん・加藤茶子さん、優秀賞は株式会社サイバーエージェントの瀧田凱斗さん・佐藤瑞樹さん、が獲得しました!

受賞アイデアは、課題提供社と実際に企画の実行を検討いただいています。挑戦した企画提案に実現可能性があることも本アワードの大きな特徴で、この挑戦が経験も実績も自信も得られる機会となります。

最優秀賞/優秀賞の紹介は以下の通りです。

最優秀賞

・木野 咲(32) N35インターナショナル株式会社
・加藤 茶子(35) N35インターナショナル株式会社

アイデアの概要:
実際に企画の実行を検討しているため詳細は割愛させていただきます。
受賞したポイントは以下の通りです。
・ライトユーザーにも自分の関心事から自然に入り込める導線が設計されており、サンリオへの愛着を無理なく育てる構造が秀逸だったこと
・コアとなるコンセプトに拡張性があり、アプリ内外での施策展開へ発展しうる広がりを備えていたこと
・ユーザーの感情や日常行動に寄り添いながら、継続的なログイン・習慣化につながる体験価値を提示できていたこと

受賞者コメント:
サンリオさんのキャラクター、商品には幼少期の頃から親しんでおり、今回のコンペティションに応募した出発点も「サンリオが好き」という気持ちからでした。「好き」という思いから企画を育てていき、今回、最優秀賞をいただけたことを心より嬉しく思います。また、今回は同僚でありながら職種が違うチームでの挑戦だったので、それぞれの視点を生かし、バランスを取りながら企画と向き合っていきました。挑戦がこのような形で実ったことは大きな経験値になり、また自分たちの弱点や課題を見つめ直す機会になりました。今後の業務にも還元していければと思います。
自分たちの仕事を客観的に見つめる大きなきっかけをいただき、運営事務局の皆様、審査員の皆様に感謝申し上げます。

優秀賞

・瀧田 凱斗(27) 株式会社サイバーエージェント
・佐藤 瑞樹(30) 株式会社サイバーエージェント

アイデアの概要: 
実際に企画の実行を検討しているため詳細は割愛させていただきます。
受賞したポイントは以下の通りです。
・与件整理からUX全体設計まで一貫性があり、アプリ外も含めた体験の完成度が高かったこと。
・ライトユーザーの参加イメージが具体的に描けるストーリーと説得力のある資料構成で、実装を想起しやすい品質だったこと。
・コアアイデアを軸にしながらも、多様な接点へ展開できる拡張性を備えており、今後のユーザー定着施策としての可能性が感じられたこと。

受賞者コメント:
すごく悔しいです。最優秀賞しかいらないという気持ちで臨んでいたので、正直、結果を聞いた瞬間は悔しさの方が大きかったです。ただ、今回の企画づくりを通して、「人の気持ちをどう動かすか」という視点の大切さを改めて実感しました。どれだけロジカルに設計されていても、最後にユーザーを動かすのはワクワクやときめきといった感情なのだという気づきは、自分にとって大きな財産です。このような経験の場をいただけたことに、心から感謝しています。

結果発表の際、課題提供いただいたサンリオ様から講評をいただきました。

「優秀賞の瀧田さん・佐藤さんのコアアイデアに関しては近日リリースする施作とドンピシャと思うほどに、よくここまで捉えていただいたと驚きました。最優秀賞の木野さん・加藤さんはコアとなるコンセプトのスケールや拡張性について、想像を超えてきたなと。最優秀賞と優秀賞で方向性が違いましたが僅差で選ばせていただきました」(鈴木 理恵 様)

受賞2組に共通していたのは、応募課題にチャレンジがあったこと。普段馴染みのない商材や領域に苦労はあれど、ユーザーニーズを探り、理解を深めることに、徹底して向き合われていたことが印象的でした。

最優秀賞チームは、「社内やクライアントに報告したところ、自分たちが思っていた以上に喜んでくれました。自分が一生活者としてワクワクすること、『楽しそう』と感じる気持ちを大事にしながら、もっとたくさんの人の心を動かすような、人の役に立つ企画を考えていきたいです」と今後の抱負を語ってくれました。

栄えある受賞を祝して

2025年12月4日、受賞者と審査員らを招いた贈賞式を、東京都港区白金台のシェラトン都ホテル 東京にて執りおこないました。第13回Webグランプリ贈賞式の一部門として紹介、贈賞に先立ち、本アワードの代表を務めた建石帆乃香さんより、審査経過が報告されました。
「U35 Creative & Communication Award」は、若手ビジネスパーソンが挑戦し、実務に近い経験を積む機会を創出することを目的に立ち上げられました。3年目となる本年は、若手主体の運営を継続し、挑戦の場としての広がりを感じています。
本年度は、株式会社サンリオ様を課題協力企業としてお迎えし、『Sanrio+のアクティブユーザーを増やし、ファンの“好き”を育てる施策提案』をテーマに募集しました。一次審査・最終審査を経て、最優秀賞・優秀賞の各1組が選出されました。課題提供いただいたサンリオ様をはじめ、応募者の皆さま、ご協力いただいた皆さまに心より御礼申し上げます。
審査では、企画全体の構成力や、ライトユーザーにも届く参加導線の工夫、そして 今後の施策展開へつながる発展性が特に印象的でした。受賞企画はいずれも独自の視点と確かな実現性を備えており、選外の企画にも次の示唆となる優れた着想が多く見られました。
本アワードは、単なる競争ではなく、互いに学び合い、次の挑戦につなげる場です。今回の経験が、皆さまの未来の一歩となることを願うとともに、来年度もさらなる発展を目指して、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます」(建石 帆乃香・DMI U35 Project / 株式会社良品計画)
最優秀賞にはトロフィーと賞金10万円、優秀賞にはトロフィーと賞金5万円を、さらに株式会社サンリオ様より副賞としてキャラクターぬいぐるみが進呈されました。
受賞者のみなさん、改めておめでとうございます。
I.C.E.では、今後も若手クリエイターの活躍の場を広げる活動に力を入れてまいります。

審査員(最終審査):
<株式会社サンリオ>
鈴木 理恵(デジタル事業本部 デジタル事業開発部 CX推進課 シニアマネージャー)、田口 歩(デジタル事業本部 デジタル事業開発部 CX推進課 顧客体験プラットフォーム戦略推進担当)
<U35 C&CA運営審査員・ゲスト審査員>
建石 帆乃香(株式会社良品計画)、工藤 康平(ソニー株式会社)、廣澤 祐(花王株式会社)、高橋 文人(サントリーウエルネス株式会社)、長谷部 貴洋(株式会社良品計画)

運営事務局メンバー:
<デジタルマーケティング研究機構U35 Project>
株式会社良品計画:建石 帆乃香/花王株式会社:廣澤 祐/ソニー株式会社:工藤 康平
<I.C.E. U35 Project>
株式会社AID-DCC:石井 秀樹、上村 未有/株式会社ガジェログ:小玉 隆一、鯉渕 菜花/株式会社コンセント:村松 慧人/株式会社D2C ID:波多野 桃子、鈴木 晃太郎/株式会社ナディア:岡本 結那/株式会社フォーク:西澤 奈那/株式会社ワンパク:川上 成海/株式会社パズル:脇田 洋輔