2023.02.17 PR委員会 EVENT REPORT
一般社団法人 Interactive Communication Experts(以下I.C.E.)は、2022年12月13日に『第11期 定時社員総会』と、感染リスク低減対策を講じて懇親会を開催いたしました。本会では新たな運営理念・ヴィジョン・ミッションも発表され、10周年を迎えたI.C.E.はさらなる発展と貢献のため活動していく旨が語られました。その様子を抜粋してレポートします。
オンラインとオフラインのハイブリッドで開催された第11期定時社員総会は、各委員会を担当する理事と希望した加盟社の代表が参加、山垣一理事(総務PR委員会委員長・株式会社博報堂アイ・スタジオ)の司会のもと、第10期の決算報告と第11期の予算説明、決議事項の報告、第10期の活動報告と第11期活動計画について発表がありました。また今期より、委員会は一部統合され4つにスリム化しています。組織図と分科会については図をご参照ください。

第10期決算報告

2021年10月1日~2022年9月30日の第10期決算書について、久山和宣監事(株式会社ベースメントファクトリープロダクション)より報告がありました。この決算書は事前に加盟社からのメール投票にて承認を受けていますが、改めて貸借対照表、財産目録、収支計算書、正味財産増減計算書についての説明がおこなわれました。

新たな運営理念・ヴィジョン・ミッションの発表

I.C.E.は10周年を迎えたことを契機に、運営理念・ヴィジョン・ミッションを新しく発表しました。
「I.C.E.の加盟社は同じデジタルクリエイティブ業ですが多様性があります。ライバルとして切磋琢磨しつつも、同じように抱えている問題に対しては仲間となって協力し、共に課題を乗り越えていくことが業界発展のためには必要不可欠だと思っています。新しい運営理念・ヴィジョン・ミッションにはI.C.E.のそのような考えと、前向きでハッピーな未来をつくるための行動をより具体性をもって示しました」と阿部淳也理事長。こちらの内容は懇親会でも発表しています。

第10期の活動報告と第11期の計画発表

ここからは、第10期の活動報告と第11期活動計画について各担当理事より発表があった内容を記載していきます。

▼理事会
委員会活動とは別に理事会全体の活動として、第10期は沖縄で開催された『マーケティングアジェンダ2022』(5月25日~28日)の公式プログラム『第2回 ヤング・クリエイティブ・アジェンダ』に、I.C.E.としてスポンサード しました。I.C.E.からは5チームが参加し、2チームが受賞(最優秀賞/優秀賞)しました。

第11期はJAAデジ研(公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構)とのコラボレーションによる、『ヤングクリエイティブグランプリ』の開催を予定しています。より広域性・公共性を備えたアイデアコンペ企画になります。また、プレゼン・審査・最終発表は、JAAデジ研主催の『Webグランプリ』が開催される12月におこなう予定です。

▼マネジメント委員会
2021年12月から2022年1月にかけて、「労働環境の実態調査」を経営者と現場に向けておこないました。経営者回答では、コロナ禍による影響が約80%あり、そのうち「70%がマイナスの影響」であることがわかりました。一方、現場サイドでは「約80%がリモートワークを続けたい」と回答し、「労働時間は約40%増えた」ということがわかりました。これにより、現場の仕事は増えているが経営的にはマイナスであり、効率や生産性にズレがあることが見えてきました。

第11期は、第10期と同様に労務や労働環境に関するアンケートを実施したうえで、集計結果をもとにセミナーを開催します。また、経営者が抱える具体的な課題を設定し、それに基づく質問を参加者に投げながらディスカッションをおこなう「マネジメントサロン」も開催予定です。

▼クリエイティブ人材育成委員会
第10期は加盟社が参加できるセミナーイベント「I.C.E. Working Group」を3回オンラインにて開催しました。I.C.E.理事でもあるRANA UNITEDの木下謙一氏が『アートディレクター講座』 を、外部講師としてIBM Future Design Lab. の岸本拓磨氏を招聘し『IBM iX / Future Design Lab. の次世代テクノロジー×コンテンツデザイン』 について、同じく外部講師としてコピーライターで世界ゆるスポーツ協会代表理事の澤田智洋氏による『弱さを生かすクリエイティビティ』 をテーマとしたセミナーを実施、合計211名の申込と165名の参加がありました。カンヌライオンズやSXSWを題材にした「I.C.E. Creative Lounge」はコロナ禍で未開催となりました。

第11期より、人材育成委員会とクリエイティブ委員会が統合されます。主な活動予定としては、以前から加盟社を訪問するイベントを開催していましたが、新たに『I.C.E. Meet & Greet』という名称で実施します。コロナ禍で現場スタッフの交流がなくなっていることもあり、この活動を通じて親睦を深めていければと考えています。

※富永幸宏理事(第11期クリエイティブ人材育成委員会員副委員長・第10期クリエイティブ委員会委員長/株式会社エイド・ディー・シーシー)は都合により欠席

▼ビジネス委員会
多くの加盟社が集い、毎月の定例ミーティングにて制作環境と取引の整備について取り組んでいるビジネス委員会では、第10期から第11期にかけて、制作をサポートするガイドラインの全面的な見直しをおこないました(2022年12月28日更新 )。これに関連して、2022年9月にJAAA(一般社団法人日本広告業協会)との意見交換会およびJAAデジ研(公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構)のオンラインセミナーでの活動内容の発表もおこなっています。この度改訂した新たな「制作ガイドライン」「SOW(作業範囲記述書)」『業務委託契約制作ガイドライン』については、2023年5月に説明会の開催を予定しています。

▼総務PR委員会
第10期の総務委員会では、隔月での理事会開催、毎年9月の理事会合宿の議事・進行、毎年12月の決算書類監査報告の確認および社員総会の準備・進行等をしてきました。また、新規加盟希望社への案内や委員会参加のサポートもおこなっています。第10期のPR委員会では、理事会・人材育成員会・総務委員会に関する活動レポートの作成と、WebサイトやSNSの更新、プレスリリースの作成と配信をおこないました。

第11期では、PR委員会と総務委員会が統合されました。今期は第12期の理事・監事選挙に向けた活動があります。4月に選挙の公示および立候補者の募集をおこない、6月に選挙投票、7月に開票、年末の総会で候補者の承認という流れを予定しています。PRとしては、今期同様にI.C.E.が幅広く知られるよう活動していきます。

※山垣一理事(第11期総務PR委員会委員長・第10期総務委員会委員長・株式会社博報堂アイ・スタジオ)はビジネス委員会副委員長を兼任

その後、第11期の予算について山垣理事より説明があり、理事会メンバーよりメッセージが述べられ、定時社員総会は終了しました。

3年ぶりに懇親会を開催

定時社員総会終了後は、場所を渋谷南平台のレストランに移動して懇親会が開かれました。コロナ禍により3年ぶりの開催となった懇親会では、ご招待した方も含めた82名 の参加者が集いました。久しぶりの再会に喜ぶ姿や、名刺交換をしながら和気あいあいと歓談する姿など、オンラインでは味わえない熱気に包まれた会となりました。

また懇親会の合間には新加盟社からの挨拶もありました。今期は株式会社やどかり、およびGMO ENGINE株式会社の2社が新規加盟、株式会社イメージソースが合併により新会社の株式会社D2C IDと社名を変更しています。

株式会社やどかり取締役・福森勤氏は、「Webサイトやスマートフォンなどの制作をしております。クリエイティブのスタンダードを作るという目的に賛同しており、みなさんといろいろなお話しができればと思っております。今後も何卒よろしくお願いします」と話しました。

GMO ENGINE株式会社の平川浩司代表取締役社長は「これからの10年、未来を見据えて、旧・株式会社ENGINEはGMOインターネットグループにジョインし新たにGMO ENGINE株式会社としてスタートしました。I.C.E.に参加することで、いろいろと勉強させていただきたいと考えています。よろしくお願いします」と挨拶をおこないました。

株式会社D2C ID取締役の山口浩健氏は「イメージソースが合併し社名も変更されました。社員数が増えたこともあり、今後はI.C.E.の取り組みに積極的に参加していきたいと思います」と述べました。

業界の本音が飛び交ったスペシャルトークセッション

懇親会の目玉となったのは、「クリエイティブ業界は今後10年でどのように進化するのか」をテーマとするスペシャルトークセッション。阿部淳也理事長、小川丈人理事、石井義樹理事、岡田行正理事がパネラーとして登壇しました。

10年後のクリエイティブ業界を語るうえで、まずはこの10年間の変化をそれぞれ語っていきました。「クライアントからの直案件が増え、自分たちが広告代理店化してきた」(石井理事)「デジタルに関する理解度が高まり、スペシャリストが専門家としての仕事をすれば良くなった」(岡田氏)という内容や、コロナ禍によってデジタル化へ大きくシフトした近年の変化について意見交換がされました。

業界の現在についてディスカッションされた際には、デジタル関連の広告費が伸びる一方で削減される制作費について切り込まれます。社員の生活を守るために予算の裏付けが必要であることやその手段についてなど、議論は白熱していきます。

10年後の未来に向けては、「フェイクニュースがあふれるなか、クリエイティブの力でよりよい社会を取り戻したい」と小川理事。熱く語られるなか、最後に阿部理事長から「ここに来ている20~30代の方々がこれからの時代をつくる。I.C.E.の活動を通じて様々な人と出会い、次のステップにつなげてほしいです。マネジメント層の方々は、I.C.E.の情報を積極的に社内で広め、語りかけてください」と締めくくりました。

I.C.E.では、今後も制作体制の整備や、人材・情報交換を通じて業界とクリエイティブの底上げを図っていきます。幅広く会員を募集していますので、ご興味のある方はぜひお問い合わせください。

写真提供/I.C.E.総務PR委員会 撮影/西田優太|Yuta Nishida
取材・文/富山英三郎|Eizaburo Tomiyama